電話

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電話(でんわ、telephone)は、電気通信役務の一種で、電話機音声を電気信号(アナログ式では電流の変化、デジタル式では加えて位相の変化)に変換し、電話回線を通じて離れた場所にいる相手方にこれを伝え、お互いに会話ができるようにした機構および、その手段のことをいう。

現代の電話回線は電話交換機で世界的に相互接続され電話網を形成している。また、技術の進歩に伴い、固定電話間の通話にとどまらず、携帯電話自動車電話)・PHS衛星電話・などの移動体通信IP電話などとの相互間通話や、無線呼び出しへの発信も可能になっている。インターネットへのダイヤルアップ接続など、コンピュータ間のデータ通信にも応用されるようになり、社会における重要な通信手段の一つとなっている。

初期のアナログ電話は、電流の変化そのものをマイクやスピーカを使って音声に変換しているので、電流の変化そのものを情報として伝送している(ベースバンド伝送)。一方でデジタル式電話では、送電経路上の情報の送受信の効率を優先させるため、必ず変調復調といった手順を含み経路上の回路は複雑になるが、情報の量や品質においてメリットが非常に大きい。多くは得られた情報からのベースバンドを、さらに伝送経路上で符号化する方式で伝送している(搬送帯域伝送)。

電話の仕組み[編集]

電話機[編集]

詳細は 電話機 を参照

電磁誘導の原理を利用し音声を電気信号に変換し、電気信号を音声に変換する機器が電話機である[1]

電話機には次のような種類がある。

また、電話回線を使って画像を送受信する機器はファクシミリ (FAX)という[2]。ファクシミリ・複写機イメージスキャナなどを一つの筐体に収めたデジタル事務機器複合機と呼ばれる。

音声と同時に動画を送ることができるようにしたものはテレビ電話という。

電話の伝送経路[編集]

詳細は 電話回線 を参照

通常、電話のシステムは電話機1機対電話機1機とはなっておらず、複数の電話機について通話を行う時にだけ電話交換機で回線を確保する方式(回線交換)がとられる[3]

電話機・電話交換機を相互接続するインターフェース電話回線である。

電話の歴史[編集]

歴史参照

電話が社会に与えた影響[編集]

すべての人間が同じ時間を分け合いながら発信し受信する。言葉の壁はあるが遠隔地に直接、自分の考えを伝えられ情報をとりだせる。技術的な問題を意識することなく老若男女が同じ方法でサービスを利用できる。この結果として電話はサービスに対する概念を変えることになる。利用者は受益者で、かつ負担者のためサービスの対価として「時間による課金」を意識させられることになる。

また電話のできた当初はサービスを享受できる側と享受できない側が、時間のずれという面から発生した。これを積滞と呼ぶ。自宅へ電話網をつなげることで個人が「局」として好きな時間に利用できるメリットは生まれるが、局と局を繋いで経路 (route) を作るための交換局 (exchanger) が電話には不可欠であり長距離になれば交換局と交換局を結ぶ必要が出てくる。

サービスが拡大すれば必要な施設を設置する投資も不可欠だが、投資を回収するまでの時間が生まれれば全ての利用者に一度にサービスを提供できないことで積滞が生まれた。しかし、郵便と違って利用者を拡大すれば、相対的に個人が負担する費用は段々減る法則が電話にはある。言い換えれば、ひとつの事業者の電話線の接地面積が拡大すればするだけ、利用者の負担は一定の水準まで軽くなる。同時に運営事業者が過当競争で倒れた場合は利用者へデメリットが生まれる。

この結果として積滞率解消、かつ公共サービスのコストの面から電話の事業体は公益性を追求する官営(BTグループ登場以前のイギリス方式)か、ローカル地域と基幹網を分けた上で後者についてはある程度まで行政の裁量で独占を許す形の民営にするかの(分割以前のアメリカのAT&Tがこの役割を担った)選択を国は迫られることになり、敗戦後の日本は事業体の形態を公社とすることに決定した。1980年代の通信自由化においてこの論争は再燃することになるが、日本における電電公社民営化の過程については井上照幸著『電電民営化過程の研究』(エルク ISBN 978-4434001475)が詳しい。インターネット時代の到来によりまた新展開が拓けていった。

1950年代には、商店・企業の連絡手段として必要不可欠なものとなった。そのころ一般家庭では、「呼出電話」と呼ばれる、電話を持っている人に着信させ、電話を受けた人が呼び出す人をその人の家まで呼びに行くものであった。そのため、電話機は玄関に設置された。また、発信には、公衆電話が利用された。

日本で一般の家庭にも普及しはじめたのは1970年代以降である。ほとんどの家庭で1台のみが居間などに設置されており、家族が共同で使用するものであった。

1990年代には、親子電話・コードレス電話などにより、個室からの通話が可能となった。親が知らない交友関係ができる、長電話で高額の通話料金となるなど親子関係の摩擦の原因となることもあった。

1990年代後半に入り、各国での携帯電話の普及により、移動中・在宅を問わず直接個人に連絡できる手段となっている。

電話の種類[編集]

固定電話と携帯電話[編集]

通信には、電気信号を通信当事者間の通信ケーブルでやりとりする有線通信と電気信号を電波に載せてやりとりする無線通信がある[4]

家庭やオフィスなどの建物に固定して設置され、月毎に通話料金を支払う有線式電話を固定電話という。

  • 単独電話: 加入者線を一つの加入者で占有するもの。
  • 共同電話: 電話交換機の出線を有効活用するため複数の加入者で加入者線を共同利用するもの。

一方、携帯電話やかつての自動車電話など無線を媒体とした電話を無線電話という。人工衛星を使用する電話機もある。

ただし、例えば携帯電話による通信は携帯電話と基地局の間では無線通信であるが、それより先は伝送ケーブルによる有線通信である[5]。また、建物内でも無線LANなどの無線通信が使われている[5]

公衆電話[編集]

公衆電話は、街頭などに設置され、硬貨・トークン(電話専用コイン)やプリペイドカードテレホンカード)・クレジットカード等で利用可能な電話をいう。

  • 委託公衆電話: 公共施設・・店舗などの構内に電気通信事業者によって設置され、施設の管理者に管理を委託しているもの。
  • 特殊簡易公衆電話: ピンク電話とも呼ばれる、店舗内などに店舗などの運営者によって設置されるもの。
  • 特設公衆電話: 災害時に避難場所などに設置される無料公衆電話。
  • 新幹線公衆電話・船舶公衆電話・航空機公衆電話・衛星公衆電話・列車バス公衆電話: 日本の公衆電話の項を参照。

その他の電話[編集]

  • 光線電話
    空間光通信の一種で光を搬送波として使用する。直線で互いに見通せる範囲内でしか通信できないが、高速大容量の通信が可能。可視光線以外に赤外線も用いられる。近年ではデジタル式もある。
  • 水中電話
    水中で使用する為に超音波を利用する。アナログ式とデジタル式がある。

通話の種類[編集]

  • 市内通話
    単位料金区域 (MA) 内発着の固定電話による電話のこと。市内電話ともいう。
  • 市外通話
    市内電話領域外(国内)への電話のこと。市外電話。
  • 国際電話
    国外へ電話をかけること。国際通話。
  • コールバック
    発信側が呼び出しを行い、着信側が発信側の電話番号を得た後一旦回線の開放を行い、着信側が発信側を呼び返す通話。

脚注[編集]

  1. 谷口功『図解入門よくわかる最新通信の基本と仕組み 通信の常識 第2版』秀和システム、2007年、64頁
  2. 谷口功『図解入門よくわかる最新通信の基本と仕組み 通信の常識 第2版』秀和システム、2007年、70頁
  3. 谷口功『図解入門よくわかる最新通信の基本と仕組み 通信の常識 第2版』秀和システム、2007年、67頁
  4. 谷口功『図解入門よくわかる最新通信の基本と仕組み 通信の常識 第2版』秀和システム、2007年、14頁
  5. 5.0 5.1 谷口功『図解入門よくわかる最新通信の基本と仕組み 通信の常識 第2版』秀和システム、2007年、15頁

関連項目[編集]

電話の仕組み・種類・相互接続[編集]

電話番号[編集]

電話マーク[編集]

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詳細は 電話マーク を参照

電話のマークは、「☎」、「☏」、「✆」、「℡」(TEL)。

資格・要員[編集]

  • 電気通信主任技術者 - 事業用電気通信設備の工事・維持・管理の監督の資格
  • 工事担任者 - 端末設備の工事の実施・監督の資格。通称「工担者」、「担任者」。
  • 無線技術士 - 無線機器を利用して電話の中継を行う際に、一定の要件を満たす場合。
  • 交換手 - 自動交換機が普及する前、相手までの経路を繋いでいた人。現在でも代表番号・大代表番号を持つような大企業・団体では、代表番号にかかってきた電話を内容に応じた担当部署に回す専従者が、主として総務部門などにいる。

その他[編集]

外部リンク[編集]

郵政博物館:逓信総合博物館が東日本大震災で閉館後、通信文化協会が運営していた部分がスカイツリーに移転。

NTT技術史料館:逓信総合博物館が東日本大震災で閉館後、NTT東日本が運営していた部分の一部の展示物が展示されたところ。