超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-

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超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』(ちょうじくうようさいマクロスツー ラバーズアゲイン)は1992年に発売されたOVASFアニメマクロスシリーズ」における外伝的作品である。

概要[編集]

作品[編集]

本作は『超時空要塞マクロス』誕生10周年記念作品として企画された。初代制作スタッフからはキャラクターデザインの美樹本晴彦、脚本の富田祐弘が参加したが、原作者のスタジオぬえは関与せず、AICが中心となって制作された。構成としては可変戦闘機、恋愛ドラマ、歌など前作の基本線を引き継ぎつつ、主人公が民間人でヒロインが軍人、歌を戦意高揚の兵器として使うなど、ひと捻りした演出がされている。地球へ強行着陸したゼントラーディ戦艦の残骸の中に作られた都市など、インパクトのある映像も見られた。メカニックデザイン藤田一己が担当していたが、途中で降板したため、大半は大畑晃一らが担当。主役メカのバルキリーIIを初めとするそれらを、オープニングアニメーションや第5話で派手に動かした大張正己の作画も、見所となった。

しかし、内容的には前作の焼き直しと見られ、続編に期待していた『マクロス』ファンを満足させるものではなかった。初代スタッフも本作の描き方に疑問を感じたことから、正統な続編として『マクロスプラス』と『マクロス7』の制作を思い立ったという(板野一郎コメント参照)。ただし、セールス的に結果を残したことが、以降の「マクロスシリーズ」の展開に繋がったという面もある。

1993年には、7月から8月にかけてテレビ東京系でテレビせとうちをキー局に、テレビアニメ用の編集を施したバージョンが放送された。このバージョンはその後、NHK衛星第2テレビジョンでも放送されている。

世界観[編集]

OVAリリース当時は『マクロス』の直接の続編と見なされていたが、監督の八谷賢一は制作前のインタビューで「いわゆる続編という前作と密接な関係を持った作品は、前作のオリジナルスタッフが作るべきものだという認識があります」、「マクロスの世界設定の一部を土台として、その上にまったく新しい話を展開するということです」と語っている(『アニメージュ』1991年11月号より)。

シリーズ展開当時の位置付けとしては、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の世界観の延長線上にあり、時間軸では2090年代という設定で、前作から80年間の出来事も設定されていた(『B-CLUB』1992年6月号に掲載)。

しかし、後に作成されたスタジオぬえ監修の「マクロスシリーズ」公式年表はこれと一致せず、また、年表上に本作関連のエピソードは記載されていない。なお、この公式年表において『愛・おぼえていますか』は、「ゼントラーディ軍との第一次星間大戦の勝利から20周年を記念して、2031年に公開された歴史映画」と位置付けられている。

他のシリーズ作品との関連[編集]

マクロスプラス』映像特典などの一部の資料では、本作を明確にパラレルワールドと位置付けて紹介しているものもある。2008年に放送されたマクロス公式ラジオ『RADIO MACROSS』の第5回では、『超時空要塞マクロスII』は「アナザーストーリーとして楽しむと良い」という公式コメントが発表されている。

もっとも、本作品が他の『マクロス』シリーズ作品から完全に孤立しているというわけでもなく、本作と時期を同じくして発売された『超時空要塞マクロス2036』『超時空要塞マクロス 永遠のラブソング』といった一部のゲーム作品には本作とリンクする要素を含んでおり、共通の世界観の下に展開されている作品は少ないながらも存在している。

また、ウェンディー・ライダーが唄う劇中歌『バルキリーで誘って』は、後年の『マクロス7』においてアイドルグループ「ジャミングバーズ」の持ち歌として披露されている。


注意以降に核心部分が記述されています。

ストーリー[編集]

ゼントラーディ軍との戦争から80年後、地球に新たな異星人マルドゥークが来襲する。地球統合軍は対ゼントラーディ戦で有効であった音波攻撃「オペレーションミンメイ(「ミンメイディフェンス」)で迎え撃つが、マルドゥークもまた、戦いの歌でゼントラーディ兵を操る軍隊であった。

その戦場を取材中だったTVレポーター神崎ヒビキは、敵艦内で歌巫女イシュタルを救助し、地球へ連れて帰る。やがて、地球のラブソングを知った彼女は、マクロスを「アルスの船」と呼ぶのだった…。

スタッフ[編集]

  • 企画:大西良昌、村上克司、末吉博彦、瀧井英侍
  • プロデュース:高梨実、草野啓二、井口真一、谷紳一郎、神田浩武、井上博明、拵裕
  • アシスタント・プロデューサー:寺田将人、園山靖輔
  • 宣伝プロデューサー:田口智幸(ビックウエスト)、沢登昌樹(ムービック
  • 監督:八谷賢一
  • シリーズ構成:富田祐弘
  • キャラクターデザイン:美樹本晴彦
  • キャラクターデザイン協力:石田敦子
  • コスチュームデザイン協力:石田敦子、筱雅律
  • メカニックデザイン監修:大畑晃一
  • メカニックデザイン:藤田一己阿久津潤一奥田淳、大畑晃一、福地仁
  • メカニックコンセプトデザイン協力:スタジオぬえ
  • コンセプトデザイン:渡部隆
  • オープニングアニメーション
    • 絵コンテ、作画監督:大張正己
    • 原画:反田誠二、奥田淳、菅沼栄治、石田敦子、村木靖、岩田デゲ丸
    • 美術協力:平城徳浩
  • 美術監督:中原英統
  • 色彩設定:金丸ゆう子、上谷秀夫
  • 特殊効果:福田貴博、櫻井亮司、桜井亮二、榊原豊彦、千場豊(マリックス)
  • コンピューター・グラフィックス:吉沢亮吉
  • リスワーク:マキ・プロ
  • 撮影監督:小西一廣
  • 音響監督:本田保則
  • 音響効果:今野康之(スワラプロ
  • 音響制作:嶋恵子(アーツプロ)
  • 音楽:鷺巣詩郎
  • 音楽プロデューサー:佐々木史朗
  • 音楽制作:ビクター音楽産業株式会社
  • 録音スタジオ:タバック
  • 現像:東京現像所イマジカ
  • 制作:AIC、オニロ
  • 製作、著作:株式会社バンダイ、株式会社ビックウエスト、株式会社ヒーロー・コミュニケーションズ、株式会社毎日放送、株式会社小学館

以下はTV放送バージョンで追加された分。

主題歌[編集]

  • オープニングテーマ
  • エンディングテーマ
    • 『de・ja・vu~そばにいて』 - 作詞:金子美香、作曲:TSUKASA、編曲:井上鑑、歌:金子美香
    • 『約束』 - 作詞:松宮恭子、作曲・編曲:鷺巣詩郎、歌:笠原弘子
  • 挿入歌
    • 『恋のバナナムーン』 - 作詞:横山武、作曲:原一博、編曲:鷺巣詩郎、歌:佐藤有香
    • 『バルキリーで誘って』 - 作詞:白峰美津子、作曲・編曲:鷺巣詩郎、歌:佐藤幸世
    • 『今は友達』 - 作詞:谷亜ヒロコ、作曲:間瀬憲治、編曲:鷺巣詩郎、歌:佐藤幸世
    • 『あなたを感じている -ミア・センテス・レン』 - 作詞:真名杏樹、作曲・編曲:鷺巣詩郎、歌:笠原弘子
    • 『もういちど Love you』 - 作詞:松宮恭子、作曲:柿原朱美、編曲:鷺巣詩郎、歌:笠原弘子
    • 『ト・ア・ウィ アラブル・レン -もういちど Love you-』 - マルドゥーク語訳:八谷賢一、歌:イシュタル(笠原弘子)
      • 『もういちど Love you』のマルドゥーク語バージョン。全巻購入者特典CD「イシュタルからの伝言」に収録。

主要キャスト[編集]

神崎 ヒビキ(かんざき -)
声:高山勉
テレビ局SNN(スクランブル・ニュース・ネットワーク)所属の芸能レポーター。功名心からスキャンダルばかり狙っていたが、対マルドゥーク戦の取材に関わることになる。イシュタルやシルビーとの出会い、真実を隠蔽する地球統合軍への反発から、報道者としての使命に目覚める。
イシュタル
声:笠原弘子
マルドゥーク軍の歌巫女(イミュレーター)の一人。歌でゼントラーディ兵を戦闘に駆り立てる役を務めていたが、ヒビキにより地球に導かれ、初体験の「文化」に衝撃を受ける。やがて歌の素晴らしさを知り、平和の使者として立ち上がる。
シルビー・ジーナ
声:冬馬由美
バルキリーIIを駆る統合軍のエースパイロット。勝気でメルトランディの祖母の血を引く天才的技量をもつが、日常的な女性らしさも秘めている。エクセグラン総司令との密会現場をスクープされて以来、ヒビキと反目していたが、戦いを通じて心を通わせあう。
ネックス・ギルバート
声:島田敏
シルビーの同僚で、太陽系バルキリー操縦選手権の総合優勝者。ナルシストだが、シルビーには普通の男性らしい好意を寄せる。搭乗機は最新鋭機メタルサイレーン。
ウェンディー・ライダー
声:佐藤幸世
地球文化を象徴するアイドル歌手。統合軍のプロパガンダ活動の一翼を担い、月面フェスティバルで『バルキリーで誘って』と『今は友達』を歌う。
エイミー
声:国府田マリ子
沙織(さおり)
声:原亜弥
ナスターシャ
声:引田有美
以上三人はシルビーの部下で、「フェアリー・リーダー」隊員。
デニス・ローン
声:大友龍三郎
かつて名を馳せた戦場カメラマン。ヒビキに報道の有り方を教えるが、イシュタル救出の際に命を落とす。
マッシュ
声:草尾毅
ヒビキの友人で、エステティックサロンのオーナー。バイセクシャルだが、面倒見の良さで信頼されている。
エクセグラン
声:坂口芳貞
地球統合軍総司令。統合軍内の腐敗を憂う高潔な軍人で、シルビーの良き理解者。
バルゼー
声:渡部猛
旗艦グロリアの艦長。マクロスキャノンでマルドゥーク軍を迎撃するが、特攻で戦死する。
フェフ
声:古谷徹
マルドゥークの勇猛な司令官。イシュタルに任務以上の想いを抱き、地球から奪還せんとする。
エリンシェ
声:麻志奈純子
イミュレーターのリーダー的女性。前衛艦隊旗艦サーライドに乗艦。地球に惹かれるイシュタルを説得できず、イングスに消去される。
イングス
声:置鮎龍太郎
マルドゥークのイングス艦隊司令官。征服のためには手段を選ばぬ冷酷な独裁者。
ヴォルフ
声:飯塚昭三
マルドゥークの前衛艦隊司令官。旗艦サーライドが異民族の歌に汚染されたため、イングスに乗艦諸共削除される。

主要メカニック[編集]

地球側[編集]

VF-2SS バルキリーII
往年の名機、VF-1 バルキリーの発展形である統合軍の主力可変戦闘機。2072年に登場したVF-2の改良モデルとして、2081年より部隊配備された。巨人族との格闘戦を想定し、機体はVF-1より二周りほど大きい。宇宙空間専用機で、通常装備として対艦攻撃用レールガン1門を搭載したSAP(スーパーアームドパック)を装着する他、支援兵器の自動攻撃式小型ビットも装備する。
VF-2JA イカロス
大気圏内専用に開発された可変戦闘機。CCV技術導入により、空中機動の特化が図られている。バルキリーIIとは開発元が違うため変形システムが異なり、機体も一回り大きい。
VF-1MS メタルサイレーン
ロールアウトされた最新鋭可変戦闘機。月面フェスティバルでレプリカ機がデモ飛行を行った後、マルドゥークとの決戦でネックス機が実戦投入された。バルキリーIIやイカロス以上の優れた火力と推力を持つ他、バトロイドでの格闘能力もより強化され、ファイター時の機首部をプラズマスピアとして使用する。更に第4の形態として、近接戦闘用のガンドロイドモードを持つ。
VF-XX ゼントラーディアン・バルキリー
VF-2の前身として、2060年代に開発された可変戦闘機。ゼントラーディ系バトルスーツの関節や動力伝達系技術を導入した異形のフォルムを持つ。Episode 5で1カットのみ登場する。
VC-079 SNNバルキリー
2079年にタチカホフ社が発売した民間用の複座型可変機。報道機としても利用され、大気圏脱出用ブースターを装着すれば宇宙空間への急行も可能である(SNNテレビ社有機は本社ビル内のカタパルトから発進する)。非戦闘用のため、変形はガウォークまで。
ガウォーク・ロイド
低空での運用やガウォーク形態での運用を前提に、バトロイド形態を廃したバルキリーの亜種。Episode 5で1カットのみ登場する。
次世代型デストロイド
トマホークII、ディフェンダーEX、ファランクス改、ジャイアントモンスターなど。デストロイド#その他の機体を参照。
グロリア
バルゼー率いる統合宇宙軍第12艦隊の旗艦。
ヘラクレス
統合宇宙軍艦隊の旗艦。
マクロスキャノン
ゼントラーディの大型戦艦(ブリタイ艦クラス)を4隻連結した形の、統合軍の超大型決戦兵器。マクロス艦と同様に砲撃体型へトランスフォーメーションを行う。作中では6番艦まで存在する。

マルドゥーク側[編集]

ギガメッシュ
マルドゥーク軍の主力バトルスーツ。小型ミサイルやウイングカッターなど近接戦闘能力を備える。フェフ専用タイプもある。
バトルポッド
ゼントラーディ兵用の量産兵器。指揮官用タイプもある。
ゼントラーディ用パワードスーツ
前作のヌージャデル・ガークァドラン・ローに相当するパワードスーツ
サーライド
マルドゥーク軍前衛艦隊の旗艦。艦内に「アルス・ノヴァの聖域」と呼ばれる施設が存在する。 

各話リスト[編集]

Episode サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 キャラクター作画監督 メカ作画監督 ソフト発売日 TV初回放送日
1 コンタクト 富田祐弘 八谷賢一 青木武 田中正弘
荒木英樹
筱雅律
美樹本晴彦(協力)
中山岳洋
西井正典(協力)
1992年5月21日(VHS/LD)
2001年6月25日(DVD)
1993年7月26日
2 イシュタル 中村学 つるやまおさむ 西山明樹彦 滝川和男 1992年6月21日(VHS/LD)
2001年6月25日(DVD)
1993年8月2日
3 フェスティバル 有井絵武 よしもときんじ 青木武 田中正弘
筱雅律
北島信幸
美樹本晴彦(協力)
宍戸聡 1992年8月21日(VHS/LD)
2001年6月25日(DVD)
1993年8月9日
4 マルドゥーク・ディスオーダ 中村学 浦田保則 荒木英樹 1992年9月24日(VHS/LD)
2001年6月25日(DVD)
1993年8月16日
5 ステーション・ブレーク 有井絵武 つるやまおさむ
西森章
西森章 大張正己 大張正己
反田誠二(補佐)
1992年10月22日(VHS/LD)
2001年6月25日(DVD)
1993年8月23日
6 シング・アロング 富田祐弘 つるやまおさむ 八谷賢一 宇佐美皓一
田中正弘
寺沢伸介
筱雅律
宍戸聡
滝川和男
1992年11月21日(VHS/LD)
2001年6月25日(DVD)
1993年8月30日

※DVD版は全6話をDVD2枚に収録して1パッケージで発売された。

テレビ東京系 月曜18:00枠
前番組超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-次番組
無責任艦長タイラーリトルツインズ

関連作品[編集]

小説
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』 全5巻、著:富田祐弘(小学館
漫画
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』 画:岡崎つぐお(小学館)
CD
『超時空要塞マクロスII オリジナルサウンドトラック』 (ビクター音楽産業
『超時空要塞マクロスII オリジナルサウンドトラック vol.2』 (ビクター音楽産業)

外部リンク[編集]

マクロスシリーズカテゴリ
テレビアニメ 超時空要塞マクロス - マクロス7 - マクロスF
OVA Flash Back 2012 - マクロスII - マクロスプラス - マクロス ダイナマイト7 - マクロス ゼロ
アニメ映画 愛・おぼえていますか - マクロスプラス MOVIE EDITION - マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!
ゲーム VF-X2 - トゥルーラブソング - M3
漫画 VF-X2 - マクロス7 トラッシュ - マクロス ダイナマイト7 ミレーヌビート
ラジオドラマ マクロス・ジェネレーション
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関連項目 ゲーム一覧 - スタジオぬえ - 河森正治 - 毎日放送


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