三國志 (ゲーム)

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三國志(さんごくし)1985年に株式会社光栄(現コーエー)が発売した、パソコン用の歴史シミュレーションゲームである。後に任天堂ファミリーコンピュータにも移植された。三國志シリーズの第1作である。音楽は菅野よう子が担当している。

内容

概要

中国の古典物語『三国志演義』の世界を題材にしている。『信長の野望シリーズ』で導入した領国経営型シミュレーションを軸に、人材運用の概念を導入している。国を富ませ戦争に勝利するには、多数の優秀な人材を登用し、経営や戦争に適材を配すことが必要となる。このあたりは、戦国大名による国盗り合戦の雰囲気で制作された『信長の野望シリーズ』に対して、様々な武将が物語の中心になって活躍する原作三国志のイメージを表現するために考え出されたシステムだと思われる。

これによってプレイヤーは、関羽諸葛亮などといった武将達を縦横に動かし、原作さながらのシチュエーションを再現することができた。また、ゲーム中に用意された各種コマンドも、原作の名場面を彷彿とさせるようなものを中心に用意されており、プレイの雰囲気を盛り上げることに一役買っていた。これらの新しい要素により、同じシステムを下敷きにしながらも、それぞれの差別化と新たなファン層の開拓に成功し、三國志シリーズは『信長の野望シリーズ』に続いて光栄の二大看板となった。

インパクト

三国志の世界が題材に選ばれた原因は、吉川英治著『三国志』や横山光輝著の漫画『横山光輝 三国志』、更には前年までのNHKにおいて『人形劇 三国志』の放映などが背景にあったと考えられる。また、本作によって初めて三国志の世界にのめり込んだ人間も多く、日本における三国志普及の強力な牽引役となっているのは間違いない。

このゲームの定価が14,800円という、当時としてもずば抜けて高価なものであることも衝撃であった。これはファミリーコンピュータ本体と同じ値段であり、ゲームソフト一本の値段としては常識を超えた価格設定であった。しかしそれがむしろ「他のゲームと一線を画す高度な内容である」というブランドイメージにつながり、多くの販売本数につながったと部分もあった。

特徴

能力値は「知力」「武力」「カリスマ」(『II』以降の「魅力」)の他に、今作のみの能力値として「身体」「運勢」が存在した。身体は寿命を過ぎると毎年1月に2割ずつの割合で減少していき(例:75→60→48→…)、おおよそ30以下になると死亡する危険が高まる(シナリオ1でコンピュータ専用君主として登場する初期身体が28の陶謙は、ゲーム開始の次の年に死亡することが多い)。ちなみに今作での総合能力値トップは『II』以降で常連になる曹操ではなく、孫権であった。

プレイヤーが選んだ君主はルーレットで能力値を基本値-5~+5の範囲で変えることができた。これによって、劉備を知力100にしたり、袁術を武力100にすることが可能だった。また、馬騰は身体・武力・カリスマの3つを100にできた。またプレイヤーの選んだ君主が死亡した場合でも、領地と武将が残されていれば後継者を選んでゲームの続行が可能である。

人材登用コマンドにおいて「自ら出向く」「名馬を贈る」「美女を贈る」というそれぞれ三顧の礼赤兎馬貂蝉のエピソードを表現したものも取り入れられていた。また初期版では、君主のカリスマ性と武将における忠誠度が混同されており、シナリオ1での劉表など、この数値の低い君主は引き抜きが可能だった。ただしこれを実行すると君主の家臣に別の君主がいる状態になる。

同時期の信長の野望・全国版と違い、戦場マップで城ヘックスを全て占拠しても勝利となる。城ヘックス占拠のため、部隊分散というコマンドがあった。

なお天災のイナゴの被害が非常に大きく、1ターン目にイナゴに襲われればほぼクリア不能に追い込まれるほどであった。さらに住民の反乱についても、シリーズの他作品でも注意する必要があるが、本作においてはそれが顕著で、武力の高い武将でも殺されることもあった。

データのミスで、龐徳郭図の能力値が入れ替わっていた。しかしゲームの進行に直接影響を及ぼすものでなかったためか、結局どのバージョンでも修正されることは無かった。

また、呂布など武力の高い武将に、訓練武装共に最高値の兵士を与えるとかなり強力になる。しかし知力の高い武将による火計はより脅威で、どんな武将でも着火して1ターン経過すると部隊ごと焼け死んでしまう。(X1等の初期ロットでは、機動力さえあれば火の海を移動できた)ちなみにシナリオ2では呂布が君主になっているが、そこに曹操が攻め込むと君主の呂布自ら曹操側に寝返るという珍事が起きる。さらに戦場で計略コマンドが使えるバージョンでは、火計+計略(機動力を0にする)コマンドのコンビネーションが強力だった。成功すると対象部隊及び武将は退却あるいは焼死するため、知力の高い武将2人が守っている城は難攻不落であった。

バージョンによる違い

初代PC版
初期に発売されたスタンダード版。PC-8801X1FM-7など各機種向けに発売された。BGMが演奏されない機種もあった。初めての武将の登場ということもあってか、武将の顔については、今見るとかなり貧相なグラフィックが使われている。
抄本三國志
初代PC版から計略、突撃、略奪などのコマンドを削除し、シナリオ1のみプレイできる簡易版。8,800円と初代PC版よりも価格も低く設定された。
PC9801,PC-8801mkIISR,X1turbo版
400ラインモニターに対応したパソコン向けに、データを追加した改良版。政治画面での計略コマンドや、イベントグラフィックと武将の顔グラフィックが追加され、文字も高解像度の読みやすいフォントを採用している。BGMFM音源に対応した美しいものになっている。また、88版では「戦いの手を休めてはなりません」であった軍師の助言が98版では「なにをぐずぐずしておられるのです。戦いの手を休めてはなりません」になるなど、一部の台詞の追加もされた。
ファミリーコンピュータ版
ファミコン本体よりは安い9,800円の価格設定だった。内容としては、初代PC版と抄本三國志の中間といったところで、シナリオは全部入っているが、戦闘時の突撃と計略コマンドが削除され、政治画面での略奪や美女の数といった概念も省略されているほか、人材登用の「手紙を書く」や、外交交渉の「姫ごと皆殺し」コマンドも無く、PC9801版で追加されたコマンドも存在しない。
ただ、これだけ内容を削られていても、顔グラフィック等に関しては、かなり力が入っており、すべて描き直されていたり、バッテリーバックアップに対応していたりするため、ファミコン版に対する不満の声はそれほど聞かれなかった。
X68000
信長の野望・全国版と共に発売された。音声とグラフィックを当時最高水準のPCであったX68000向けに一から描き起こしてあり、三國志の決定版といえる豪華な内容に仕上がっていた。コマンドなどは全てPC9801版に準拠しており、全ての要素が遊べた。
三國志リターンズ
Windowsプレイステーションなどで発売されたリメイク版。グラフィックがポリゴンになっている。

Windows版のコーエー25周年記念パックのVol.2に復刻収録されているもの、及び後にコーエー定番シリーズで単品発売されたものではPC-9801版が採用されている。

陸遜のイメージ

このゲームに登場する武将達の顔グラフィックは、三國志連環画を資料にしていると推測される。陸遜という武将は、この連環画においては中年男性として描かれている。ところが本作での顔グラフィックは、まるで昔の少女漫画に出てくる長髪の美少年という場違いな雰囲気である。これは陸遜だけに見られる現象であり、他の武将は概ね連環画のイメージに合わせたグラフィックになっている(劉備も主人公として美化されている)。ちなみにファミコン版の三國志では、比較的大人しいグラフィックに描き直されていた。しかしながら、以降のシリーズでも一貫して陸遜は美形武将として描かれている。ただし陸遜に限らず後期のシリーズになるほど、人気武将は美化されている。 なお、民間セン紙(「セン」は「前」の下に「刀」。切り絵のこと。)における陸遜が切れ長の目を持つ青年というイメージであり、元になった可能性がある。

関連項目

外部リンク

テンプレート:三國志シリーズ

テンプレート:コーエー25周年記念パックko:삼국지 시리즈 zh:三國志 (遊戲)